からだを守る唾液の力 ①

八木美充(やぎよしみつ)

2023年10月10日 23:39


近年、体を病気から守るための「免疫」システムの中で「唾液」の成分や働きが着目されています。
口から細菌やウイルスが侵入しますが、第一の防波堤となるのが唾液なのです。
唾液には免疫効果のある抗菌物質や抗体が存在しています。


Ig A(免疫グロブリン A)
唾液の中の抗菌物質の中でエース的な存在なのが、Ig A(免疫グロブリン A)です。
Ig A(免疫グロブリン A)は、口からウイルスが入ると、ウイルスが粘膜に付着しないように複数の IgA がくっついて取り囲んで無力化します。そして、唾液がそれらを洗い流すのです。また、IgA は、身体の免疫の 6 割を担うといわれる腸の環境と相関関係があります。
唾液中の IgAは、口内で細菌やウイルスを除去して、悪玉菌が腸内への侵入するのを防ぎ、腸内フローラのバランスを保つことに寄与します。腸内フローラのバランスが良いと、腸から産生される免疫物質の質が良くなり、更に口内の IgA の質も向上するというわけです。


ラクトフェリン
近年ラクトフェリン入りのヨーグルトが発売されて話題になったので、ご存じの方も多いかもしれません。
ラクトフェリンは、細菌の生存に必要な鉄を細菌から奪い取り、その活動を停止させます
また、ウイルスが生体に結合するのを阻止することもあります。
一般的には腸内環境を整える成分として知られていますが、歯周病菌の生育を抑制し、バイオフィルム(プラーク=歯垢)の形成を阻害するという研究結果も報告されています。


リゾチーム
細菌の持つ細胞壁を構成する物質を分解することで、細菌が機能できなくなるようにします。リゾチームは細胞壁を持っている多くの細菌に働きかける抗菌性をもっています。

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