身近なお口のトラブル「口内炎」

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 口内炎ができてしまい、食事をするときや歯磨きをするときにとても痛い。でも気が付いたら治っていた、なんて経験はありませんか?口内炎は、口の中やその周辺の粘膜におこる炎症の総称です。頬っぺたの内側にできることが多いですが、唇にできるものは「口唇炎」、口角にできるものは「口角炎」、舌にできるものは「舌炎」と呼ばれ、お口の中の広い範囲で発生します。
また、一つだけできることもあれば、何個もできてしまったり、同じところにできたり、その症状はさまざまです。
口内炎の原因は、ストレスや栄養不足などによる免疫力低下や、口の中を噛んでしまうなどの物理的刺激、ウイルスなどによる感染など様々です。他の病気の一症状として起こる場合もあるので、長引く場合は注意が必要です。


★口内炎の種類
アフタ性口内炎
一般的にもっとも多くみられる、表面が白く、大きさが2~10㎜ほどの浅い潰瘍性の口内炎です。少し触れただけでも鋭い痛みを感じます。治療を行えば1週間程度で治りますが、それ以上経過しても治らない場合は、腫瘍(癌)が潜んでいたり、治るけど何度も再発してしまう場合は、他の病気が関係したりしている可能性があるため注意が必要です。

カタル性口内炎
入れ歯や矯正器具が接触したり、頬の内側を噛んでしまったりしたときの細菌の繁殖、熱湯や薬品の刺激などが原因で起こる口内炎です。アフタ性とは異なり、境界が不明瞭で、唾液の量が増えて口臭が発生したり、口の中が熱く感じたり、味覚がわかりにくくなることもあります。

ウイルス性口内炎
ウイルスが原因で起こる口内炎もあります。ヘルペスウイルスの感染が原因の「ヘルペス性口内炎(口唇へルペス)」は、主に唾液などの接触感染や飛沫感染によって感染します。またカビ(真菌)の一種であるカンジダ菌は、もともと口の中に存在する常在菌のひとつですが、免疫力が低下したりすると増殖し、「カンジダ性口内炎」を発症することがあります。



 

フロスを使おう!!

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★使っていますか?デンタルフロス

日本人でデンタルフロスを毎日使用している人は36.7%。およそ3人に一人しかいません。
しかし、どれだけ丁寧に歯を磨いても、歯ブラシで落とせる歯垢は60%だけです。歯ブラシだけでは、歯と歯の間にブラシが届かず、歯垢を落とし切れないからです。歯ブラシとデンタルフロスを併用することで、約 90%の歯垢を除去することができます。デンタルフロスを使うと、下記のようなメリットがあります。

・むし歯や歯周病予防に効果的
デンタルフロスで丁寧に歯垢を取り除くことによって、虫歯や歯周病の予防につながります。

・口臭の予防や改善
食べかすや歯垢は、口臭の原因になります。もし使用したデンタルフロスのニオイを嗅いで「臭い」と感じたら、口臭がしているかもしれません。デンタルフロスで綺麗にお掃除し、口臭を予防しましょう。

・むし歯や歯周病、詰めものなどの不具合を早期発見できる
デンタルフロスを使っていて、同じ場所で切れたり、引っかかるときは、歯と歯の間が虫歯になっていたり、詰め物や被せ物に不具合が出たりしている可能性があります。歯科を受診しましょう。


★デンタルフロス何を使えばいい?

デンタルフロスには大きく分けて、自分で必要な長さの糸を切り取って使う「糸まきタイプ」と、持ち手がついている「ホルダータイプ」があります。人のお口の中はそれぞれ個性があります。当院では、患者さん一人ひとりに合ったデンタルフロスや使い方を歯科衛生士がアドバイスしています。わからない方はお気軽にご相談ください。効果的に使用し虫歯や歯周病を予防しましょう。



 

一度治療した歯がまた虫歯になるのはなぜ?

カテゴリー │歯のおはなし


★なぜ、治療した歯に虫歯ができるの?
虫歯ができてしまったけれど、ちゃんと治療したからもう安心と思っていませんか?残念ながらそれは間違いです!
一度治療したところがまた虫歯になってしまうことを、「二次カリエス」といいます。実は、一度削った歯は虫歯になりやすくなります。なぜかというと、一度歯を削って詰め物をしたり、かぶせ物をしたりした歯には、詰め物の劣化や食いしばり、歯ぎしりなどでミクロの段差や隙間が生じてしまい、そこから虫歯菌が侵入するからです。
虫歯菌は、歯を酸で溶かしてくぼみを作っていきます。これが虫歯です。しかし通常は、歯の周りがエナメル質という固い組織で守られており、歯に穴をあけるのには、とても時間がかかります。
これに対して歯の中にある象牙質は軟らかく虫歯菌に溶かされやすい性質です。一度歯を削ってエナメル質がない場所は、虫歯菌が侵入すると、浸食されて歯髄まですぐに広がってしまうのです。


★「二次カリエス」予防のためにできることは?
毎日の歯磨き

一度虫歯になってしまった箇所は、歯磨きがしづらく歯垢がたまりやすい場所です。毎日の歯磨きで、自分の口の中のどこが治療後の歯なのかを意識しながら、丁寧に歯を磨きましょう。

定期的に歯科医院に通う

どんなに丁寧に歯を磨いても、歯磨きだけでは60%程度しか歯垢が落とせません。落としきれない汚れは歯科医院で徹底的にきれいにしましょう。虫歯の早期発見にもつながります。

二次カリエスになりにくい材質(セラミック)を選ぶ

当院では、虫歯治療の際には保険治療と自費治療をお選びいただけます。保険治療で使用する銀歯は、セメントで歯と銀歯の間を埋めて機械的に停めているだけです。これを『合着』と言います。
金属は熱いものを食べると膨張し、冷たいもので収縮します。温度変化を繰り返すことで、すき間に虫歯菌が侵入します。また、プラスチックとセラミックを混ぜた白い CAD/CAM 素材は、柔らかいので食いしばりや歯ぎしりがあると、欠けたり割れたり、歯との間にすき間ができたりして虫歯菌が侵入します。こうして二次カリエスができるのです。つまり、保険治療は5年ぐらいで虫歯を繰り返し、最終的には歯を失ってしまう可能性があるのです。
自費治療でお選びいただけるセラミックやジルコニアは、レジンセメントを介して歯と接着でき、分子レベルで一体化します。すき間ができず細菌を浸入させません。見た目も本物の歯と見分けがつかないくらいきれいです。二次カリエスになりにくく、長持ちするので長い目で見ると保険治療を繰り返すよりも経済的です。そして、歯磨きと定期予防で健康なお口を長く維持しましょう。



 

女性と歯周病の関係

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実は男性に比べ、女性のほうが歯周病に悩む機会が多いということをご存じでしょうか。
女性ホルモンには、ある特定の歯周病菌の増殖を促したり、歯周組織の炎症を悪化させたりする作用があります。女性ホルモンの分泌はライフステージによって変化します。
女性特有の歯周病を理解しケアをしましょう。


★思春期
小学生高学年や中学生に見られる歯周炎を「思春期性歯肉炎」と言います。
歯ぐきが腫れたり、歯みがきによる刺激で歯ぐきから出血したりする歯周炎で、発症の頻度では思春期の子供のおよそ20%に見られるという報告もあります。
この思春期性歯周炎の原因は、女性ホルモンと言われています。体の成長に伴ってホルモンのバランスが大きく変わることで歯肉炎にかかりやすくなってしまうのです。歯周炎の初期は大きな痛みもなく、また思春期や部活や試験、受験で忙しい時期なので、知らないうちに進行してしまうこともあります。


★妊娠出産
妊婦さんに気をつけてほしい歯周炎が「妊娠性歯肉炎」です。
妊娠すると、女性ホルモンが大量に分泌されます。つわりで十分に歯が磨けなくなる、食生活の変化で唾液量が減り、唾液による自浄作用が低下するなどの理由から、口内環境が悪くなり、歯周病リスクが高くなります。
産後も育児に手が掛かり、自分の口腔ケアをおろそかにしがちで、出産を期に歯周病になってしまうケースが多いので注意が必要です。また、歯周病は、早産の原因にもなります。虫歯や歯周病の治療は、できるだけ妊娠する前に済ませておきましょう。


★更年期
女性ホルモンのエストロゲンは骨密度の低下を防ぐ役割をしています
更年期を過ぎると、エストロゲンが減少し、骨密度が低くなり、骨粗鬆症になりやすくなるのは良く知られていますが、歯を支える顎の骨も弱く脆くなります。更に、歯茎が痩せてしまったり、口が乾きやすくなる(ドライマウス)ことで、歯周病リスクが高くなります。




 

からだを守る唾液の力 ②

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唾液を増やそう

唾液腺マッサージ
唾液を増やすためには唾液腺マッサージがお
勧めです。毎日数回のマッサージを 1 年くらい続けると唾液量は増していきます。

舌下腺
親指を立てて、顎の下を押すように10回程度刺激する。

顎下線
手をグーにして顎の下にはめるように置き、後ろから前へ10回程度動かす。

耳下腺
耳の下より前を人差指、中指、薬指で回すように刺激する。10 回以上繰り返しましょう。




 

からだを守る唾液の力 ①

カテゴリー │歯のおはなし


近年、体を病気から守るための「免疫」システムの中で「唾液」の成分や働きが着目されています。
口から細菌やウイルスが侵入しますが、第一の防波堤となるのが唾液なのです。
唾液には免疫効果のある抗菌物質や抗体が存在しています。


Ig A(免疫グロブリン A)
唾液の中の抗菌物質の中でエース的な存在なのが、Ig A(免疫グロブリン A)です。
Ig A(免疫グロブリン A)は、口からウイルスが入ると、ウイルスが粘膜に付着しないように複数の IgA がくっついて取り囲んで無力化します。そして、唾液がそれらを洗い流すのです。また、IgA は、身体の免疫の 6 割を担うといわれる腸の環境と相関関係があります。
唾液中の IgAは、口内で細菌やウイルスを除去して、悪玉菌が腸内への侵入するのを防ぎ、腸内フローラのバランスを保つことに寄与します。腸内フローラのバランスが良いと、腸から産生される免疫物質の質が良くなり、更に口内の IgA の質も向上するというわけです。


ラクトフェリン
近年ラクトフェリン入りのヨーグルトが発売されて話題になったので、ご存じの方も多いかもしれません。
ラクトフェリンは、細菌の生存に必要な鉄を細菌から奪い取り、その活動を停止させます
また、ウイルスが生体に結合するのを阻止することもあります。
一般的には腸内環境を整える成分として知られていますが、歯周病菌の生育を抑制し、バイオフィルム(プラーク=歯垢)の形成を阻害するという研究結果も報告されています。


リゾチーム
細菌の持つ細胞壁を構成する物質を分解することで、細菌が機能できなくなるようにします。リゾチームは細胞壁を持っている多くの細菌に働きかける抗菌性をもっています。


 

歯科金属アレルギーとは?

カテゴリー │歯科

★歯科金属アレルギーとは

金属アレルギーとは、金属によってアレルギー反応を起こす症状の事を言います。ネックレスや指輪などの身近な金属によって起きることが知られていますが、最近では、歯科治療で使用する金属によりアレルギーを起こす『歯科金属アレルギー』がメディアで注目されています。
歯科金属アレルギーの原因は、口の中に入れている銀歯や詰め物などの金属です。金属そのものが直接的にアレルギーを引き起しているのではなく、金属から溶け出した金属イオンが体内に吸収されることがきっかけで起きてしまうのです。症状は、口内炎がよくできる、舌がビリッと痛い、といった口内炎や舌炎などの口腔内の炎症です。そのほか、唇が腫れてただれてしまう口唇炎や口角炎などが現れる事も少なくありません。ま
た、口周りだけでなく、皮膚炎や肩こり、頭痛など、全身に及ぶため、まさか原因が口の中の金属だと気づかず、長年症状に悩んでいる方もいらっしゃるようです。



★歯科治療ではどんな金属が使用されているの?

歯科治療では、保険の詰め物やかぶせ物、ブリッジに使う銀歯(金銀パラジウム合
金)のほか、根の治療後に使う土台や入れ歯などに様々な金属が使用されています。

■アマルガム
40~50%の水銀、銀、スズ、銅などからなる化合物です。以前は保険診療で詰め物に使われていましたが、水銀が体内に流出して脳や腎臓、肝臓などに蓄積される危険性が指摘されています。1970 年代以前に虫歯治療を受けた場合は、詰め物に使われている可能性がありますので、歯科医院で調べてもらい、早めに除去することをお勧めします。

■12%金銀パラジウム合金
いわゆる銀歯です。日本では保険診療で多く使われていますが、金属アレルギーの可能性があり、医療先進国のドイツや北欧の国々では、国から使用しないよう勧告が出されています。

■銀合金
保険診療の適用材料のひとつです。軟らかいので、乳歯の詰め物や永久歯のかぶせ物の土台に使われますが、錆びやすく、銀の成分が溶け出して歯茎が黒くなることがあります。


★治療方法は?

歯科金属アレルギーの治療には、大学病院などでパッチテストという検査を受け、アレルゲンとなっている金属を特定し、原因の金属が使われている銀歯や詰め物など取り除くことから始めます。ただし、多くの場合、大学病院で検査をしなくても、銀歯を順に金属以外のものに交換していけば次第に改善してきます。自費になりますが、計画的にセラミックに変えていくことをお勧めします。


 

歯に関する豆知識、ウソ!?ホント!

カテゴリー │歯のおはなし

★歯は日焼けする?
→ウソ!

段々と紫外線が増えてきました、お肌は日焼けをしますが、歯は日焼けをしませんのでご安心ください。
ですが、加齢よってエナメル質が薄くなるため、徐々に象牙質の色が透けて黄色くみえていきます。歯の色を変えたいと思ったとき、まっ先に歯磨き粉に目を付けがちですが、歯磨き粉は歯の表面に付いた着色をとるだけで、歯の色を白するわけではありません。
歯の色が気になる方は、ホワイトニングで、歯そのものの色を明るくすることをお勧めいたします。

★唾液がないと味を感じない?
→ホント!

食べ物の味は、舌にある「味蕾(みらい)」と呼ばれる器官に、唾液によって食べ物の味を構成している物質が溶け込むことで感じることができます。
だ液が少なくなると、味蕾へ味を構成する物質が届きにくくなります。口の中の潤いも少なくなり、舌と口腔内や食べものがこすれて炎症を起こしたり、味蕾の働きが鈍くなったり、味蕾自体が無くなってしまったりします。
食事の際はよく噛んで、唾液の分泌を促しましょう!

★古代エジプトのミイラも歯周病だった?
→ホント!

歯周病は、歯周病菌によって歯の周りの歯槽骨が破壊されていき、やがて歯が抜けてしまう恐ろしい病気です。
人類と歯周病との付き合いは大変古く、古代エジプト人よりもっと昔の、早期ネアンデルタール人にも見つかっています。
日本人の歯を失う原因の第1位は歯周病(37%)で、「30 代以上の 8 割が歯周病」になっているというデータがあります。
歯周病は大人だけの病気と思われていますが、子供や犬、猫も罹ります。
歯周病の予防には、毎日の丁寧な歯磨きと、歯科医院でのプロフェッショナルなケアが大切です。
大昔から続く歯周病と人類の戦いは、まだ続きそうですね…。いっしょに頑張りましょう!

★印象材の材料はかまぼこと同じ?
→ホント!

歯科医院で歯の型を取ることを、「印象を取る」と言い、型を取る材料を「印象剤」と言います。
型を取ったことがある方はお分かりかと思いますが、最初はペースト状で、時間が経つと弾力が出て固まってきます。
この印象剤には海草から作るアルギン酸という材料が使われています。
かまぼこを作るときに、すり身を固まらせるために使用される材料で、食べても安全です。
型取りが苦手な患者さまは、かまぼこの事を思い出すと少し楽になるかも?



 

歯周病は糖尿病の合併症?

カテゴリー │歯科


★糖尿病とはどんな病気?

糖尿病は、血糖値を下げる働きをする「インスリン」というホルモンの分泌が少なくなったり、作用が低下したりすることで血糖値が高くなる病気です。
高血糖状態が慢性化、長期化することで血管が傷つき、将来的に心臓病や、失明、腎不全、足の切断といった、より重い病気(糖尿病の慢性合併症)につながる恐れがあります。
また、著しく高い血糖は、それだけで昏睡(こんすい)などをおこすことがあります。糖尿病には 1 型と 2 型があり、遺伝でかかりやすい体質や、免疫の異常で発症するケース、別の病気や薬が原因で発症するケース、食べ過ぎや生活習慣から発症するケースなど、かかる原因は様々です。
特に、生活習慣が原因でかかる 2 型糖尿病は全体の 9 割以上を占め、近年増加の一途をたどっています。なんと日本人の 5~6 人に 1 人が糖尿病か、その予備群と言われています。


★糖尿病と歯周病の関係

歯周病は糖尿病の第 6 番目の合併症」と言われています。このふたつの病気にはどのような関係があるのでしょうか?歯周病は、歯肉(歯ぐき)や歯槽骨(骨)など歯を支える歯周組織が、細菌による炎症で破壊されて歯を失っていく病気です。日本人の約80%の方がかかっているとされます。
歯周病になった歯周ポケットの中は見えませんが、歯磨きで出血するとき、炎症の大きさは手のひらくらいのサイズになっています。この大きな傷口が手当されずに露出し、出血や膿が治療なしで放置され、歯周病菌が血液を介して体に流れ込んでいく、と聞くと深刻さがイメージできると思います。
血管から歯周病菌が流れ込むと、血液内に炎症性サイトカインという物質が増え、インスリンの働きを悪くし、糖尿病の血糖コントロールが難しくなって糖尿病を発症します。
歯周病は糖尿病だけでなく、多くの疾病を引き起こす怖い病気です。糖尿病の患者さんは、細菌に対する抵抗力や組織の修復力が低下し、口腔内の乾燥等が生じるので、歯周病になりやすく悪化しやすくなります。このため、糖尿病の患者さんが歯周病になると、どちらの病気も悪化していくという負のスパイラルが起きてしまいます。



 

その症状、知覚過敏かも!?

カテゴリー │歯科


冷たいものを食べた時や、お水で口をゆすいだりした時にキーンと歯がしみたり、歯磨きをしているときに電気が走ったように瞬間的な痛みが走る、というような症状はありませんか?
その症状は知覚過敏かもしれません。
知覚過敏とは、正しくは象牙質知覚過敏症といいます。


★知覚過敏とは?

歯の一番外側にあたる部分は、エナメル質という人体で最も固い組織で覆われています。その下にあって、大切な歯髄(神経)を取り囲んでいるのが、象牙質です。この象牙質には、象牙細管という無数の細い管があり、神経まで直接到達しています。そのため、象牙質に刺激が加わるとすぐに神経に伝わって、瞬間的な痛みを感じるのです。
本来は、歯のエナメル質が歯を被って鎧の役割をして守っており、歯の根っこにあたる象牙質は歯ぐきに隠れているので、象牙細管が露出することはありません。
しかし、歯ぐきが痩せて象牙質が露出したり、むし歯になって象牙質まで穴が達してしまうと、露出した象牙細管を通って神経に刺激が伝わり、「しみる」「痛い」という症状を感じてしまうのです。


★知覚過敏を防ぐには?

知覚過敏は、歯周病や加齢による歯肉の退縮や、強いブラッシングによる歯磨きや歯ぎしり、歯の食いしばりなどによる歯と歯肉へのダメージから起こります。
歯磨きの時に、研磨剤入りの歯磨き粉を使って強い力でゴシゴシ磨きを繰り返していると、歯の表面のエナメル質が薄くなり、象牙質から「熱い」「冷たい」などの刺激が伝わりやすくなるため、しみる症状が出てきます。
また、歯肉が退縮して歯根部分の象牙質が露出してくると、刺激を受けやすくなって知覚過敏の症状が出る場合もあります。歯ぎしりや歯を食いしばるクセがある場合も、顎の大きな咬合力によって歯と歯肉に負担をかけるので、歯の表面に亀裂ができたり、歯肉が退縮したりして象牙質を露出させ、知覚過敏の症状がでてきます。

知覚過敏の症状が出ている間は、しばらく冷たいものや熱すぎるものを避けぬるま湯で口をゆすぐようにしましょう。そして、知覚過敏用の歯磨き粉で柔らかい歯ブラシを使って優しく磨きましょう。


 

災害時、口腔ケアで命を守る

カテゴリー │歯科


★「お口」は感染症の入り口!?

災害時、多くの人が同じ空間に集まって生活する避難所では、飛沫感染や空気感染による、感染症の拡大リスクが高まります。阪神淡路大震災では多くの震災関連死の原因が肺炎でした。
災害から避難することができても、避難所などで歯みがきや入れ歯の清掃などの口腔ケアが十分にできない場合、口腔衛生状態の悪化から身体全体に悪影響が及ぶ場合があります。
特に危険な病気が「誤嚥性肺炎」です。これは、誤って飲み込んだ飲食物や唾液が気管に入ってしまったときに(誤嚥)、口の中で繁殖した細菌が一緒に肺に入ってしまい、発症
する肺炎です。高齢者は眠っているときにも唾液が気管のなかに流れ込むことが多く、避難生活の中でもオーラルケアを続ける必要があります。口腔内を清潔に保つことで、虫歯や歯周病だけでなく、誤嚥性肺炎も予防できるのです。


★準備リスト

避難の際に、バックに入れたかどうか確認しましょう。
入れ歯:慌てて忘れてしまい、避難所で食事が出来ず、低栄養になって衰弱するケースが多いので必ず確認しましょう。
歯ブラシ・デンタルフロス:必ず新しいものを数本、防災バッグに入れておきましょう。
歯磨き粉・ペースト:認知症の高齢者は味が変わると受付けないことがあるので、いつも使用しているのと同じ物がお勧めです。
マウスウォッシュ・液体歯磨き:リステリンやモンダミン、コンクールなど、殺菌剤の入ったものは、うがいをすることで水が使えなくてもお口を清潔に保て
ます。
入れ歯ケース・洗浄剤:入れ歯を使用している人は、防災バックに入れておきましょう。
口腔用や入れ歯用の洗浄シート:水がないときに便利です。



 

あなたの歯周ポケットは大丈夫?

カテゴリー │歯のおはなし


★歯周ポケットとは
歯と歯茎はぴったりとくっついているように見えますが、実は少し隙間が空いています。その隙間の深さが問題です。2mm 以下なら問題はありませんが、深い溝になると汚れが溜まりやすくなり、歯周病の原因になるからです。このすき間を歯周ポケットと呼んでいます。
歯周ポケットは、「ポケット探針」「ポケットプローブ」と呼ばれる専用の器具で測定します。細い針状の器具で目盛りがついており、これを歯と歯茎の間に入れて溝の深さを測ります。表裏、端寄り、中央など 1 本の歯で 4~6 か所測定します。
また、同時に出血や歯のグラつきもチェックします。通常は、痛みはありませんが、腫れがあるとチクッと感じることがあります。


★どうして歯周ポケットが深くなるの?
お口の中の細菌には、空気が好きな「好気性菌(こうきせいきん)」と、空気が大嫌いな「嫌気性菌(けんきせいきん)」の 2 種類があります。歯周病と関係があると言われている菌は嫌気性菌です。歯周病菌は、空気から逃げようと、空気が届きにくい歯と歯茎の間に入り込みます。そして、毒素を出して歯周組織や歯槽骨を溶かします。
歯周ポケットの中は歯ブラシが届かず、磨くことができないので、さらに歯周病菌が繁殖し、毒素で歯槽骨を溶かしていきます。やがて歯槽骨が溶けてしまい、歯茎が後退して歯を支えられなくなって、歯が抜けてしまうのです。
目安として、軽度の歯周病で 3~4mm、中度の歯周病だと 4~6mm、重度の歯周病になると歯周ポケットの深さは 6mm 以上になります。


★進行する前に歯科医院へ
歯周病は進行しても痛みが出ず、自覚症状がほとんどない病気です。ですから、歯周病で歯周ポケットが深くなっていても自分では気がつくことができません。歯磨きの際に出血があったり、歯と歯の間の歯肉(歯間乳頭)が赤く腫れていたり、口臭が気になりだしたら、歯科医院で口腔内検査を受けてみましょう。
歯周病だと診断されたら治療が重要です。歯科医院で歯石を取り除き、専用の器具で歯周ポケットの中の歯石まで綺麗に取ってもらいましょう。また、できるだけプラークが付着しないように正しい歯磨き方法を習って丁寧に磨きましょう。
歯周病は口の中だけの病気と思われがちですが、実は糖尿病や認知症など様々な全身疾患と関係がある恐ろしい病気です。歯周病治療には時間がかかりますが、全身の健康のためにもしっかり通院して治しましょう。



 

納豆のおいしいお話!

カテゴリー │歯のおはなし


7月10日は納豆の日。炊きたてご飯のベストパートナーとして昔から日本人に愛されてきた納豆ですが、最近ではその健康効果も注目されています。
ネバネバのもととなる納豆菌に含まれる酵素、ナットウキナーゼは、血栓を溶かしやすくする働きがあり、脳梗塞や心筋梗塞などリスクを下げる効果があります。また、腸内の悪玉菌を減らして腸内環境を整え、免疫力を上げる効果や、大豆イソフラボンによる更年期障害の改善なども期待できます。
さらに、茨城県水戸市にあるタカノフーズが発見した「S-903」という納豆菌には、歯周病のもとになる細菌を減らしてくれる可能性が期待されています。納豆で歯周病が予防で
きる
なんて手軽でうれしいですね。
そんな素晴らしい納豆でも、「健康に良いから」といって食べすぎは禁物です。1日1パックの適量を食べて、美味しく健康に過ごしましょう。




 

お口の健康が健康寿命を延ばす!!

カテゴリー │歯科


今年の「歯と口の健康週間」(6月4~10日)の標語は「いただきます 人生 100 年 歯と共に」です。
超高齢化社会の日本では、健康上の問題で制限されることなく日常生活を送ることのできる期間である「健康寿命」をいかに延ばすかが課題となっています。
厚生労働省の「健康寿命の令和元年値について」によると、令和元年平均寿命は男性81.41年、女性 87.45 年、平均寿命と健康寿命の差は男性 8.73 年、女性 12.06 年でした。この期間の短縮に大きく影響するのが、口腔機能であることがわかっています。



★オーラルフレイル健診をうけましょう。
オーラルフレイル」とは歯や口の機能が衰えた状態のことを言います。
健康な状態と要介護の間には、筋力や心身の活力が低下する「フレイル(虚弱)」と呼ばれる段階があります。オーラルフレイルは、「噛む」「飲み込む」「話す」などの口腔機能が加齢などにより衰えることが原因です。初めは、食べこぼしや軽いむせ、固いものが噛みにくい、滑舌の悪化などの症状が現れます。
その後は、噛めないものが増える→やわらかい物を好んで食べる→噛む機能が低下していく…という負の連鎖によってどんどん悪化していってしまうのです。そして、慢性的な低栄養によって筋肉量が減少して歩行困難になる「サルコペニア」という状態になり、やがて、骨、関節、筋肉、神経など、運動に必要な身体機能が低下し、立ったり歩いたりできなくなる、「ロコモ」という状態になってしまいます。口腔機能の衰えが全身の老化に繋がってしまうのです。
オーラルフレイルの状態を早期に発見して対策をとることが大切です。歯科医院で口腔機能低下症の検査を受けましょう。



★オーラルフレイルを予防しよう。

◆パタカラ体操
お口の周りの筋肉を鍛える体操です、『大きな声で、一文字一文字ハッキリと!』これを毎日食事の前に行いましょう。

①「パ」…唇をはじくように
②「タ」…舌先を上の前歯の裏につけるように
③「カ」…舌の奥を上顎の奥につけるように
④「ラ」…舌をまるめるように

各発音 8 回を 2 セット

他には、食事は 1 日 3 食よく噛んで食べ、人と積極的に会話をし、歯科医院で定期健診を受けましょう。いつまでも元気に過ごせるよう、できる事から初めてみてください。



 

歯に関する豆知識!

カテゴリー │歯のおはなし


★歯垢 (プラーク)は食べ物のカスが腐った物
違います!
プラークは食べものの残りカスが歯の表面につき、それを餌にして細菌が繁殖したものです。食後8 時間程度でプラークができるといわれ、プラーク 1mg のなかには、およそ 300 種類 1 億個ものの細菌が存在しています。この中に、むし歯や歯周病の原因になる菌がひしめいています。
歯垢は虫歯、歯周病、口臭の原因になります。食後には歯磨きをして、清潔なお口を保ちましょう!


★犬や猫は歯周病にならない
違います!
犬や猫も歯周病になります。犬や猫は口腔ケアが難しいので、人間以上に様々な歯周病菌が生息している可能性があります。
キスや食器、食べ物の共有をすると、飼い主が歯周病に罹患するリスクが一気に高まります。可愛いペットですが、スキンシップは気をつけましょう。


★歯垢は丁寧な歯磨きで全て落ちる
違います!
毎食後の歯磨きは虫歯予防の第一歩。しかし歯ブラシで磨くだけでは 60%しか歯垢が落としきれません。「歯間ブラシ」や「デンタルフロス」も取り入れ、歯の隙間や、奥に詰まった汚れを丁寧に掃除する習慣をつけましょう。
また、3ヶ月に一度は歯科医院でクリーニングを受けましょう。


★歯医者に行く前には歯磨きをしたほうがよい?
ホント!
歯科医院では、日常的な歯磨きの磨き残しの状態をみるプラークスコアという数値をつけます。10〜20%程度で維持できれば歯周病を予防できます。
しかし、歯磨きをせずに歯科医院に行くと、日ごろから全ての歯に磨き残しがあると受けとめられてしまいます。誰しも歯磨きにはクセがあり、特定の場所に磨き残しが出やすくなります。その場所を歯科衛生士に教えてもらい、磨き方のクセを是正してもらうことが、歯周病や虫歯を予防するために大切です。


★歯周病で死ぬことがある
ホント!
日本人の 8 割が歯周病に罹患していると言われています。歯周病菌は、唾液を介して肺に入り込んだり、歯ぐきの中の毛細血管を介して体に入り込んだりして全身の至る所で悪さをします。体に入り込んだ歯周病菌は、心臓や血管内で血栓を作りやすくし、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。
また、肺炎、糖尿病、骨粗鬆症、低体重児出産、認知症の原因の一つになっていることも分かってきました。更に、高齢者の死因第 1 位の誤嚥性肺炎にも、歯周病菌が関係しています。歯周病は自分では気がつきにくい病気です。歯茎から血がでたら、すぐに歯科医院で治療を受けましょう!




 

親知らずトラブル!!

カテゴリー │歯のおはなし


★親知らずの問題点とは
親知らずはお口の最も奥に生えるため、前回示した3タイプのどの生え方をしても、歯ブラシが届きにくく、磨き残しが発生しやすく、歯と歯肉の境目に歯垢が溜まりやすくなります。

そのうえ、奥にスペースもなくきれいに磨くのが難しいので、虫歯や智歯周囲炎になり痛くなってしまう歯周病になる、親知らずに押し出されて手前の歯並びが崩れ、噛み合わせが悪くなってしまうなど、多くのトラブルを起こす可能性があります。

親知らずが生える年齢は、ちょうど大学受験や就職活動など、人生や環境が大きく変わる時期と重なります。そんな時期に痛みが続いたり、歯の生え方や抜歯の影響で治療が長引いたりすることもあります。

親知らずの状態にはとても個人差がありますが、まだ生えていなくても、事前にレントゲン撮影で親知らずのタイプがわかりますから、早めに歯科で診てもらいましょう。



 

親知らずトラブル!

カテゴリー │歯のおはなし


子供の歯である乳歯は全部で20本、大人の歯である永久歯は「親知らず」と呼ばれる第三大臼歯を含めると32本の歯で構成されています。
ただ、この上下左右4本の親知らずは、生え方や生える時期に個人差があり、生えてこない人もいます。


★親知らずの特徴
一般的に20歳前後に生えてくると言われている親知らずは『智歯』『知恵歯』『第 3 大臼歯』とも呼ばれています。昔は短命で、親知らずが生えてきた頃には親が亡くなっていたことから、「親知らず」と名付けられたと言われています。
英語では「Wisdom tooth(分別のつく年頃に生える歯)」というそうです。奥歯の一番奥に、人知れず最後に生えてくるのが親知らずなのです。


★親知らずの生え方タイプ
1.まっすぐタイプ
普通の奥歯と同じようにまっすぐに生えてきている。噛み合わせも良ければ、トラブルは起きにくいと考えられています。
2.斜め傾きタイプ
親知らずが斜めに生えていて、隣の奥歯にぶつかっている状態。歯磨きがしにくく歯周病になりやすいなど、親知らずのトラブルで一番多いタイプです。
3.水平埋伏(まいふく)タイプ
親知らずが見えず埋もれていて、完全に横に倒れて、隣の奥歯の根元を横から押すような感じでぶつかっているタイプ。レントゲン写真で確認が出来ます。ほとんどが下あごで起きます。



 

舌苔ケア、爽やかな息で新年を迎えよう!Vol.2

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★口臭の原因(舌苔)を予防する 3 つのポイント
1、専用ブラシで舌磨き
舌にこびり付いてしまった舌苔は、舌ブラシで丁寧に掃除しましょう。鏡を見ながら、専用ブラシを使い、奥から手前に向かって、軽い力で動かして清掃してください。おえっとならないよう(嘔吐反射)、舌を思い切り前に出すのがコツです。舌は非常にデリケートな組織なので、清掃する時は力を入れすぎないようにしましょう。やり過ぎると舌の粘膜を傷つけてしまう恐れがあるので、毎朝 1 回で十分です。

2、歯垢(プラーク)をハミガキやフロスで除去
舌苔の原因となる食べかすや歯垢(プラーク)を少なくするために、しっかりと丁寧に歯を磨きましょう。歯磨きだけでは歯垢の60%しか落ちないので、歯ブラシの毛先が届きにくい歯と歯の間や歯並びが悪い箇所は、「デンタルフロス」や「歯間ブラシ」を併用しましょう。

3、歯科医院でクリーニングを受ける
歯垢が固まってできたバイオフィルムや歯石は、歯磨きだけでは落とせません。プロの手でお口の中を徹底的にお掃除し、口臭の原因物質を取り除きましょう。歯周病や虫歯の予防にもなるので、3 ヶ月に一度は歯科医院で口腔ケアを受けて、清潔で健康なお口を保ちましょう!



 

舌苔ケア、爽やかな息で新年を迎えよう!

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★舌苔は口臭の原因?
人と会うときに口臭が気になることはありませんか?コロナ禍、マスクが原因で口臭が気になるようになったと言う方も多いようです。
口臭には、歯周病や虫歯が原因の「病的口臭」、起床後や空腹時に強まる「生理的口臭」、ニンニクやタバコなどが原因の「飲食物・嗜好品による口臭」など様々な種類があります。その中でも口臭の 7~8 割は舌苔(ぜったい)からの「生理的口臭」が原因と言われています。


★舌苔とは?
舌苔とは、舌の上に薄く溜まる、苔のような白い汚れのことです。舌の表面にある舌乳頭(ぜつにゅうとう)という細かい突起の間に、食べカスや剥がれた上皮などが溜まり、細菌の住処となって舌に強く付着しています。
付着した汚れは細菌の栄養源となり、細菌が繁殖し、口臭の原因となる硫化水素やメチルメルカプタン、ジメチルサルファイドなどの強い悪臭を持つ揮発性硫黄化合物(VSC)をつくり出します。
舌苔は、ストレス、免疫力の低下、胃や小腸など消化器の病気、口腔乾燥症(ドライマウス)、舌の筋力量が低下している低位舌(ていいぜつ)でも見られるため、健康の指標にもなります。




 

口腔がんは早期発見が大切!

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★口腔がんとは?
口腔(こうくう)とは,お口の中全体を指します。そして、そこにできるがんを総称して「口腔がん」と呼んでいます。
タレントの堀ちえみさんの罹患で注目されました。舌や頬、歯ぐきなど、様々な部位にできますが、最も多いのは舌にできる舌がんです。日本では年間約 8,000 人(2016 年)が口腔がんになります。がん全体のおよそ1%ですが、年々増加しており、30 年前と比べると約 3 倍に増えています。
口腔がんは、初期症状のうちに発見すれば簡単な治療で治すことができ、後遺症もほとんど残ることはありません。しかし進行した口腔がんでは、手術により舌やあごの骨を切除するため、顔が変形することがあります。このため、日常の生活に大きな支障を残すことがあるのです。だからこそ、早期発見が重要です。